法曹養成連携プログラム 2025年度新カリキュラム - 関西学院大学 法学部 法曹養成連携プログラム 2025年度新カリキュラム - 関西学院大学 法学部

関西学院大学法学部は、法曹志望者を対象とした法曹養成連携プログラム(文部科学省認定の法曹コースカリキュラム)の新カリキュラムを2025年度に開始します。司法試験の科目に特化した少人数制の授業や長期休暇中の学習サポートを通して、法学部と関西学院大学司法研究科(ロースクール) の経験豊富な教員が学生一人ひとりを指導します。同じ志を持った仲間とともに法曹の夢を実現しましょう。

新「法曹養成連携プログラム」
3つの特長

  1. ロースクールレベルの
    13科目を新設

    ロースクールの教員を中心にロースクール未修者コース(1年生)と同様の内容・授業方法で実施する13科目を新設。法的思考や文書の作成など法曹になるために必要な高い能力を徹底的に養います。学部卒業後のロースクール既修者コース(2年生)への円滑な接続を図ります。

  2. 少人数制による
    個別指導

    新設する授業をはじめ、実績のある発展演習を少人数制で開講。双方向のやり取りが多く、小テストや中間試験も行い、学生の理解度を確認しながら授業を進め、学生の勉学へのモチベーションを高めます。学生と教員の距離が近く、個々のレベルに応じた指導が可能です。

  3. 夏・春休みに
    サポートプログラムを
    開催

    夏と春の長期休暇にも継続して法曹関連科目を学習できるように、サポートプログラムを開催する予定です。授業で学んだ内容の理解定着、自己の理解度や到達状況の把握、苦手科目の対策などに取り組めます。

授業風景

法曹養成連携プログラムとは

法学部と司法研究科(ロースクール)との連携により設計された法曹養成連携プログラムは、最短5年(法学部3年+ロースクール2年)での司法試験合格をめざすことができる文部科学省認定の法曹コースカリキュラムです。
プログラムにおいて指定された科目(憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法)についての知識と能力の修得により、ロースクールにおける学修への円滑な接続を図ることを目的としています。プログラムに登録して履修を進めることによって、司法研究科が実施する「5年一貫型教育選抜入試」の受験資格を得ることができます。

最短5年で司法試験合格(ロースクールとの充実した一貫型カリキュラム)

早期卒業せずに法学部4年でプログラムを修了・大学を卒業し、ロースクールに進学することも可能です。

カリキュラム(教育課程)

山代 忠邦 教授
法学部 法曹養成連携プログラム担当
法学部 
専門分野:民法
山代 忠邦教授
山代 忠邦 教授

法曹の仕事は、高度に複雑化した現代社会に生起するさまざまな法的問題に対処することです。時には、既存の枠組みを変更するような対応が求められます。これらには、法制度に関する原理的体系的理解、そして論理的思考力が必要です。法曹養成連携プログラムは、これらを身につけるための基礎を作り上げるものとなっています。
新カリキュラムにおいては、司法試験の主要科目である六法(憲法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法)に関する科目が新設されています。大教室での講義において、学生の理解度・学力を確認しながら授業が進められることは稀です。新設科目の授業は、ロースクールで採られている少人数双方向形式で実施されます。教員と学生が双方向のコミュニケーションを取ることにより、教員は学生の理解度・学力を確認しながら授業を進め、学生は自身の現状を把握することができます。そして、学生は、現状を踏まえて主体的・能動的に学習に取り組むことで、知識の定着・深化、そして論理的な思考力・表現力の向上を図ることができます。六法に関する科目のすべてを少人数双方向形式で受けられる大学は稀有と思います。 新カリキュラムのもとで同じ志を持った仲間と切磋琢磨することにより、法制度に関する知識、論理的な思考力・表現力だけでなく、豊かな人間性や人間関係に対する洞察力なども涵養されることでしょう。法曹志望者はもちろん、法律の学修に強い関心を有する学生にも、法曹養成連携プログラムに挑戦してもらいたいと思っています。

春学期
秋学期科目名の右は単位数

必修科目

合計60単位(修了に必要な単位数60単位)

1年

  • 憲法A(基本的人権総論)2
  • 刑法総論A2
  • 民法総則4

2年

  • 憲法B(基本的人権各論)2
  • 物権法4
  • 刑法各論A2
  • 刑法総論B2
  • 法曹応用民法A2
  • 憲法C(統治機構論)2
  • 債権総論2
  • 債権各論4
  • 刑法各論B4
  • 法曹応用憲法A2
  • 法曹商法A2

3年

  • 親族法2
  • 法曹応用憲法B2
  • 法曹応用民法B2
  • 法曹応用刑法A2
  • 法曹商法B2
  • 法曹民事訴訟法A2
  • 法曹刑事訴訟法A2
  • 相続法2
  • 法曹民事訴訟法B2
  • 法曹刑事訴訟法B2
  • 法曹応用民法C2
  • 法曹応用刑法B2

選択必修科目

合計10単位(修了に必要な単位数6単位)

2年

  • 民法発展演習2
  • 刑法発展演習4
  • 法曹入門2
  • 憲法発展演習2

3年

  • 民事訴訟法発展演習2

選択科目

合計6単位(修了に必要な単位数0単位)

2年

  • 行政法概論 ※12
  • 行政作用法 ※12

3年

  • 行政法発展演習 ※22
修了要件

3年次または4年次終了時点で、次の要件を満たしていること。

  1. 必修科目60単位、選択必修科目6単位以上を修得すること。
  2. 必修および選択必修科目のGPAが2.80以上であること。
司法研究科入学後 個別履修免除科目
  • プログラム修了には必須としないが、2科目ともGP3.00(80点)以上で修得した場合は、司法研究科入学後「行政法I (行政法総論)」の履修を免除する。
  • プログラム修了には必須としないが、GP3.00(A)以上で単位を修得した場合は、司法研究科入学後「行政法Ⅱ(行政救済法)」の履修を免除する。
授業風景

授業担当者のメッセージ

司法研究科
(ロースクール) 
専門:憲法
丸山 敦裕教授
丸山教授

丸山教授の授業風景 法曹応用憲法Aでは、「憲法A(基本的人権総論)」(1年秋学期)や「憲法B(基本的人権各論)」(2年春学期)で学習した内容をより深く理解し、より網羅的に知識の定着を図ることを目指しています。また、現実の法的紛争や憲法問題に直面した際に、憲法の判例や学説の知識を実際に使うことができるよう、必要な事案分析力や文書作成能力の礎を築くことも目的としています。
法的紛争において、類似事案の裁判例(判例)に即して紛争の解決がなされることは少なくありません。それゆえ、憲法の学習でも「判例学習」は非常に重要です。本授業では、憲法Aや憲法Bで十分に扱うことのできなかった幅広い判例について、深く詳細に学習することができます。
ただ、ここで気をつけるべきことは、1人ひとりの人生が全く同じではあり得ないように、法的紛争にも1つとして同じものはない、ということです。ですので、判例を個々の事件に機械的に当てはめることはご法度です。それゆえ、授業での事案分析の際には、判例の事案と当該事件との「違い」や「距離感」を意識して、憲法判例を丹念に読み込んでいきます。おそらく、授業を通じて憲法判例の「射程」を模索する楽しみを味わうことができるのではないでしょうか。
丸山教授 授業では、小テストを毎回実施し、授業内容についての知識・理解をこまめに確認します。小テストがモチベーションとなって勉強のペースが確立され、復習の習慣化により学力の向上が見込まれます。また、定期試験では論述式事例問題が出題されますが、これに先立ち、授業内でも法律文書の作成方法を丁寧に指導します。答案作成の場を5回程度設けますので、添削・解説を通じて確実に文章力を向上させることができるでしょう。
本授業では、少人数授業ゆえの丁寧な指導により十分な学習効果・教育効果が期待できます。きっと履修後には、これまでと全く異なる景色が目の前に広がっていることでしょう。私は、皆さんがその景色にたどり着くまでの「伴走者」として、常に横から声援を送り続けたいと考えています。学びの道の走破にあなたもチャレンジしてみませんか。

履修モデル

春学期
秋学期
法学部必修科目
プログラム必修科目
プログラム選択必修科目
プログラム選択科目

1年

  • キリスト教学A2
  • 言語科目4
  • スタディスキル演習2
  • 専門導入科目(選択)2
  • 日本国憲法2
  • 民法入門2
  • 総合教育科目(選択)10
  • キリスト教学B2
  • 言語科目4
  • 憲法A(基本的人権総論)2
  • 民法総則4
  • 刑法総論A2
  • 専門導入科目(選択)4
  • 基本演習2
  • 総合教育科目(選択)4

2年

  • 言語科目4
  • 憲法B(基本的人権各論)2
  • 物権法4
  • 刑法各論A2
  • 刑法総論B2
  • 法曹応用民法A2
  • 法曹入門2
  • 民法発展演習2
  • 刑法発展演習2
  • 行政法概論2
  • 総合教育科目(選択)4
  • 言語科目
  • 憲法C(統治機構論)4
  • 債権総論2
  • 債権各論4
  • 刑法各論B4
  • 法曹応用憲法A2
  • 法曹商法A2
  • 憲法発展演習2
  • 行政作用法2
  • 総合教育科目(選択)2
  • 自由選択2

3年

  • 親族法2
  • 法曹応用憲法B2
  • 法曹応用民法B2
  • 法曹応用刑法A2
  • 法曹商法B2
  • 法曹民事訴訟法A2
  • 法曹刑事訴訟法A2
  • 法学研究演習Ⅰ2
  • 自由選択6
  • 相続法2
  • 法曹応用民法C2
  • 法曹応用刑法B2
  • 法曹民事訴訟法B2
  • 法曹刑事訴訟法B2
  • 民事訴訟法発展演習2
  • 行政法発展演習2
  • 法学研究演習Ⅰ2

<履修単位数上限>
1年:各学期24単位 
2年以降:各学期28単位

学生支援体制

①入学前ガイダンス
入試合格者全員を対象に実施。合格から入学までの学習や、入学前学習プログラムの内容・活用方法を紹介します。また、在学生との座談会では、入学を決めた理由や、実際のロースクール生活、学習アドバイスなどをざっくばらんに聞くことができる機会を設定しています。
②入学前勉強会
ロースクール教員が講師となり、各科目の基礎的内容を取り扱う勉強会を実施しています。既修者は入学後すぐに始まる演習科目に向けた基礎固めとして活用できます。
③授業聴講
ロースクールの正規授業を、入学予定者に限定してオンデマンドで配信しています。実際に在学生が受講している授業の動画を視聴できるので、入学前からロースクールの学習を肌で感じることができます。また、好きな時に何度でも視聴できるため、入学までの期間を有効に活用して授業準備を進められます。
④入学予定者交流企画
入学予定者同士はもちろん、ロースクール教員・在学生との交流の機会を設けています。入学前学習のフォローアップや入学前の不安解消を目的に「ロースクール在学生との座談会」「当年度司法試験合格者との意見交換」「裁判傍聴企画」など、各回に特色あるテーマを設定して実施しています。

司法試験合格者の体験談

山本 悠介さん
山本 悠介さん
2022年3月 法学部卒業生
2024年3月 司法研究科修了
2024年11月 司法試験合格

 法曹養成連携プログラムの授業を通じて、法曹に関連する科目の重要な原理原則や基本的な概念の理解、知識の習得、起案作成による法的構成力・思考力・文章表現力の向上、判例の分析力・理解力を伸ばすことができました。ロースクール進学後のスムーズな学習や司法試験合格にももちろん役立ちました。
 法学部時代で印象に残っているのは、ロースクール教員が担当する授業です。例えば憲法。重要な判例を先生が学生と一緒に読み、判例の論理構造、重要なポイントを指摘してもらえました。また、事例問題の検討や起案の講評もあり、起案作成のスキルを高められました。
 どの授業も教員との距離が近いので、司法試験の問題傾向や対策方法、進路、進学の悩みなど様々な相談が気軽にできました。教員との距離の近さはロースクール進学後も感じています。
 このように学部時代に専門科目の基礎を固めることができたので、ロースクール進学後も授業に問題なくついていけました。そのおかげでロースクール進学後に新たに学ぶ範囲の勉強に注力でき、限られた時間を有効活用できました。
 私は、人々が幸せに暮らせる社会正義を実現するために、自己が果たすべき使命を全うし、それに伴う責任を果たせる社会人でありたいと考えています。司法試験に合格したので、今後は学生時代に学んだことを社会に還元していけるように日々精進していきます。
 法曹を目指している受験生のみなさん、関学は法曹希望者をサポートする体制が整っていると私は確信しています。ロースクール進学や司法試験につながる少人数制授業を学部時代から受けることができ、早期合格への勉強に集中できるからです。迷っている方は気軽に教員に相談してください。そんな私も初めから法曹を目指そうと考えていたわけでなく、教員と相談したりする中で今の進路を選びました。法曹養成連携プログラムでぜひ夢を実現してください。みなさんの挑戦を応援しています。

授業風景

よくある質問

プログラム・カリキュラムについて

新カリキュラムは何が変わったのでしょうか。

13の新科目を設置し、プログラム表(教育課程)と修了要件を変更しました。
新科目は主にロースクール教員が担当し、未修者コースと同様の内容・形態(双方向形式、中間試験、文書作成等)で実施します。法学部卒業後の既修者コースへの円滑な接続を図ります。

【法曹応用(憲法・民法・刑法)】
法学部が既に開講している憲法、民法、刑法に関する講義科目の履修を前提としつつ、法曹応用(憲法・民法・刑法)で知識の定着・深化を図ります。

【法曹(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)】
既存の学部講義科目の履修を前提とせず、はじめから法曹(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)で基本理解の獲得を目指します。

【新設科目】
学年・開講期 科目名称
2年秋 法曹応用憲法A
3年春 法曹応用憲法B
2年春 法曹応用民法A
3年春 法曹応用民法B
3年秋 法曹応用民法C
3年春 法曹応用刑法A
3年秋 法曹応用刑法B
2年秋 法曹商法A
3年春 法曹商法B
3年春 法曹民事訴訟法A
3年秋 法曹民事訴訟法B
3年春 法曹刑事訴訟法A
3年秋 法曹刑事訴訟法B
学年・開講期 科目名称
2年秋 法曹商法A
3年春 法曹商法B
3年春 法曹民事訴訟法A
3年秋 法曹民事訴訟法B
3年春 法曹刑事訴訟法A
3年秋 法曹刑事訴訟法B
法曹養成連携プログラムを修了するとどんなメリットがありますか。
プログラムを修了することで、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法についての知識と能力を修得し、ロースクールにおける学修への円滑な接続が可能となります。同プログラムの教育課程は「5年一貫型」を基本設計としており、プログラムに登録して履修を進めることによって、関西学院大学司法研究科が実施する「5年一貫型教育選抜入試」(筆記試験を課さない入試方式)の受験資格を得ることができます。
どうすれば法曹養成連携プログラムに登録できるのでしょうか。
特修コース(1年生の秋学期に出願受付・選考し、2年生春学期から開始)に所属し、2年次でプログラムの申込手続きを完了すれば、登録となります。特別な試験や課題はありません。
どのような学生が法曹養成連携プログラムに登録していますか。
法学部の特修コースに所属している学生の約80%がプログラムに登録しています。特にロースクールに進学し、法曹業界で活躍することを目指す学生が中心です。

授業について

通常の授業とあわせて、法曹養成連携プログラムの授業を受けるのは大変ですか。
法曹養成連携プログラムの対象科目は、通常の法学部の科目の中から定められた科目を履修する形式になっています。そのため、法学部の卒業に必要な授業科目数が増えるわけではありません。また、同プログラムの必修科目は時間割が重複しないように設計し、体系的に学べるように履修モデルを提示しています。予習・復習など日々の自主的な学習は必須ですが、その分、しっかり勉強すれば修了時には大きく成長できます。また学生個人に合わせた指導も行っており、取り残される学生がいないように配慮しています。
勉強したことがありませんが大丈夫でしょうか。
1年次に導入科目を設け、その後、各法律を段階的に学んでいきます。大半の学生が入学後に初めて法律を学ぶため、これまで勉強していない方も心配する必要はありません。授業内容で不明点があれば、指導教員が相談に応じます。

その他

法曹養成連携プログラムの授業はどこで行われますか。
すべての科目は法学部がある西宮上ケ原キャンパスで開講します。
法曹養成連携プログラムを修了しないと、ロースクールに進学できないのでしょうか。
同プログラムを修了していなくても、ロースクールに進学することはできます。同プログラムを修了した場合は、関西学院大学司法研究科が実施する「5年一貫型教育選抜入試」の受験資格を得ることができます。