関西学院大学大学院法学研究科_改訂
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北山 俊哉 教授行政学、公共政策学国際機構の機能的発展を探る 国際機構の機能や活動の発展が社会に及ぼす影響について国際法の観点から研究を進めています。二度の世界大戦を経て作られた国連は、国家間の政策決定の場という伝統的な役割に加えて、平和維持などの法執行機能や裁判などの法解釈機能も担ってきました。特に紛争後に正義を追及する取り組みは、刑事裁判所や真実委員会の設立に加えて、国際社会に共通する規範の形成と発展をも促してきました。このような国際機構の活動について、設立主体である国家間の交渉や、法の背後にある政治的要因についても理解を深めながら、国際機構の機能的発展について研究を行っています。学生による報告とディスカッションを中心に 大学院では、国際機構に関する日本語または英語の学術書を読みながら、学生による報告を中心にディスカッションを行います。国際機構の機能や活動を学びながら、国際法への影響、また国際法により規律される国際機構の機能についても検討し、国際機構と国際法の関係性に理解を深めます。国際機構論を志望する方へ 国際社会の諸問題で国際機構が扱わない事項はありません。国際機構についての学びは、国際機構の実態はもちろんのこと、国際社会の動きや私たちの日常生活への影響について探る貴重な機会になります。国際機構に関しては、学際的な研究がなされますが、研究の視座―法的あるいは政治的なアプローチを取るのか、歴史研究か理論研究か―を明確に持ちながら、研究を行うことが求められます。自治体における公共政策の形成、実施を探る 多くの公共政策の実施が地方自治体、とくに市町村によって行われるようになった歴史的な経緯、他国との相違、その長所と短所を検討しています。明治維新によって、国民国家を形成する中で、限定的とはいえ地方自治制度が立憲政体の中に組み込まれました。それがその後の変化、特に総力戦体制と占領改革でどのような発展の経路をたどったのかを、ポリティクス・イン・タイムという理論を援用することによって、研究しています。指導教員がどんな研究をしているかはリサーチマップで検索してください。これは大学院への進学では必須の作業です。論文は独自のリサーチ・クエスチョンを見出すことから 大学院では、学問としての地方自治論や公共政策学の基礎の上に、専門的な論文をわずか2年間で作成します。社会科学の作法、論文の構成のあり方などについても踏まえ、最新の論文の動向を押さえることも重要です。そして論文では、みんなが答えを知りたいと思う、独自のリサーチ・クエスチョンを見つけ出し、既存の研究との対決の上で、回答をエビデンスとともに提出します。授業は、そのための準備となります。公共政策を志望する方へ 公務員を目指す場合にも、社会科学としての政治学、地方自治論、公共政策学を踏まえておくことは重要です。どのようにして政府というものが作られ、地方自治制度が作られ、公共政策がどのように作成されるのかについて見取り図を持ったうえで、社会科学的な論文を作成することは社会人としても重要な経験となります。 しかし、大学院は学部の上にあるものです。これから勉強するのではなく、学部レベルの学問を踏まえたうえで、独自の貢献を行う論文を作成することが中心となります。望月 康恵 教授国際機構論、国際協力、紛争の平和的解決木村 仁 教授英米法、信託法、英米契約法英米法と我が国の法とを比較検討 英米法、すなわちイギリス、アメリカ、カナダなどの法を専門としています。その中でも信託法を中心に、英米の私法と我が国の法を比較研究しています。ある人が、一定の目的のために他人に財産を託することを信託といいますが、財産を託された受託者はどのような義務を負うのかなどの点について、英米の信託法と我が国の法を比較検討しています。高齢者や子孫のため、資金調達のため、京町屋の再生のため、そして公益のためなど、信託を活用できる場面は多く、この法のあり方に関心を持っています。基礎から応用に繋ぐ系統的な授業 修士課程の春学期には、主としてアメリカとイギリスの司法制度について、英語の入門テキストにもとづいて解説し、英米の司法システムの基本的知識を身につけるとともに、Legal Englishの基礎を学びます。 秋学期には、主として英米私法の中から受講生の関心に応じて一分野を選択し、英米の法と我が国の法を比較検討します。単なる知識の獲得ではなく、なぜ英米と我が国では異なっているのか、その背景にある考え方を探求する授業をします。英米法を志望する方へ 法律実務家にとっても、ビジネスパーソンにとっても、英米法の重要性は高まってきています。その法の背後にある考え方、社会において特定の法が期待される役割などを探求し、いずれの道に進もうと重要な本質を見極める力、そして多角的視点を養うことを目指します。受講生のニーズに応じて柔軟に対応しますので、どの分野でも、英米法を真剣に学びたいという熱意をもった諸君は、是非門を叩いて頂きたいと思います。06

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