関西学院大学 国際連携機構事務部 水山 えみ
短期留学生から大学院留学生まで、幅広いレベルの学生に対して日本語学習科目を提供しており、履修者の声として、 協定校交換学生と本学正規留学生のコメントを動画で紹介した。また、日本語学習科目への協力学生(ラーニング・アシスタント、日本語授業ボランティア、日本語パートナー) の声として、2名の学生から会場で発表があった。 留学生のみならず、関西学院大学の全学生を対象に、多様な学生たちが異なる他者への理解を深めていけるような「場」としての、日本語教育プログラムが実践されている。
日本語教育センター・准教授 山本 真理
本科目では読解活動の一環として、テキスト理解の過程で考察したことについて自らの経験などと結びつけて他者と意見交換する活動を行なっている。 この活動にはLAや日本語授業ボランティアが参加することもある。活動を通して学生らは互いの考え方や文化の相違点だけでなく共通点も発見していく。 これは本プログラムが目指す「日本語で積極的に他者と交わることで、考え方の多様性を受容することができる」ことが達成できていることの証左であり、 このような学びの場の創出は本学が目指す「国際化」の土壌作りの一端にもなっていると考えられる。
日本語教育センター・言語特別講師 淺津 嘉之
授業目的は「日本語の力を伸ばすとともに,日本の社会・文化への理解を深める」であり, 本学正規学生も,正課外活動となるが日本語パートナーとして参加する。授業では留学生とパートナーがチームとなり, 社会へのメッセージを込めた作品を生み出す。テーマは多文化共生,ビジョンは「様々なバックグラウンドを持つ人々が共に笑顔で暮らせる社会にしたい」である。 学生たちは「学習者とネイティブ」の枠を越え,主体性と協働性を発揮して取り組んでいる。同時に,価値観や認識の違いが浮き彫りになり, 共に笑顔であることの難しさにも直面している。
経済学部・准教授/日本語教育センター兼任 長谷川 哲子
日本語科目の概要について、 必修科目と選択科目に分けて説明した。続いて、必修日本語科目の日本語Ⅰ~Ⅳについて、どのような学生像をめざしているのか、 各科目の活動内容と関連付けて説明した。また、学部留学生対象の日本語科目における、多文化共生に関わる取り組みとして、 LAが参加している科目について、履修者とLAの相互に有益な学びが生じていることを報告した。最後に、 今後の課題として、1)留学生と一般学生の交流ニーズの把握、2)個々の学生の多様性に気付けるような交流の創出、継続、 3)協働での学びあいが促進される授業デザイン、の3点を挙げた。
日本語教育センター・言語特別講師 藤原 由紀子
本科目は、多様性を支えることばとしての日本語を考えることにより、学生が多文化共生社会における自己の在り方を考えられるようになることを目指すものである。 そこで、学生の多様性を学びに生かす取り組みとして、正規生、正規留学生混合でのグループディスカッションやグループワーク、共同でのふりかえりの機会を設けている。学生の記述には、 活動を通して、自らのマイノリティ経験や言語文化的アイデンティティに目を向けそれを開示したり、また、自身が持つ日本語学習者に対する誤った思い込みに気づいたりしている様子が見られる。 このように、本実践では、ことばから多文化共生を考えることを通して、本学が目指す国際化の土壌づくりに貢献していると考えられる。